· 

個人山行 熊本県_阿蘇山・宮崎県_鉾岳・大崩山

 

   🚢九州遠征🚢

【実施日】2026年5月29日(金)~31(日) ※28日(木)と6月1日(月)はフェリーにて移動

【山域・山名】熊本県阿蘇山(1,592m)・宮崎県鉾岳(1,277m)・宮崎県大崩山(1,644m)

【参加者】T岡(L)・S口(SL)・M成

【天気】最終日早朝のみ曇り。ほぼ3日とも快晴!

【コースタイム】             

◆ 阿蘇山周回 5/29(金) ※商船三井さんふらわぁ 大阪南港前夜発~別府港6:55着

            レンタカーにて7:55発~仙酔峡駐車場(無料)10:18着

 

10:40 仙酔峡登山口-12:30 高岳東稜への分岐-13:00 高岳東陵(ミヤマキリシマを愛でながら昼食30分)-13:40 月見小屋-13:50 高岳-14:15 中岳-14:40 馬の背-14:50 火口東展望所-15:00 ロープウェイ跡-15:15 楢岳-16:00 仙酔峡登山口駐車場

・5時間20分 距離8㎞ 登り864m 下り869m

 

◆鉾岳ピストン 5/30(土) ※前夜は民宿暖心泊

 

9:30 鹿川キャンプ場駐車場(200円)-10:30 鉾岳スラブ(日本最大級の一枚岩!)-11:00 パックン岩(撮影タイム20分)-11:50 鉾岳展望所(昼食20分)-12:30 鉾岳(雄鉾)-13:10 雌鉾(撮影タイム40分)-15:07 鹿川キャンプ場駐車場

・5時間35分 距離6.2㎞ 登り/下り766m

 

◆大崩山周回 5/31(日) ※前夜は大崩の茶屋泊 下山後別府港までレンタカーで2時間半

                                              商船三井さんふらわぁ 別府港18:45発~大阪南港6/1(月) 6:35着

 

5:20 大崩山登山口(上祝子)-5:50 大崩山荘-6:10 湧塚分岐-6:25 祝子川渡渉-7:55 袖ダキ展望所(ダキ:岩壁・崖の意)-8:50 中ワク塚(岩登り&撮影タイム40分)-9:40 上ワク塚(岩登り&撮影タイム&休憩50分)-11:20 大崩山-11:50 坊主尾根分岐-12:15 坊主尾根展望ポイント(撮影タイム15分)-13:05 象岩トラバース-13:30 坊主岩-14:40 祝子川渡渉-15:05 大崩山登山口(上祝子)

・9時間45分 距離10.3㎞ 登り1,264m 下り1,258m

 

★下山時14:30頃渡渉前で山の神(とっても親切な地元のお兄さま)に先導頂かなければ10時間超え、レンタカー返却時間は確実に遅刻、フェリー出航時間に間に合うかも危うかった。

 

  【報  告】

 S口感想:

 急登の先に広がる阿蘇のミヤマキリシマは山一面息を吞むピンク色の絨毯で、先の煙吐く火口付近は悠久の時を知り人を寄せ付けない山肌だ。

鉾岳では、パックン岩やベロ岩などの奇岩に心躍らずにいられない。最終日には、心許ない梯子やロープが30箇所ほども設置された岩を有するラスボス大崩山に挑むも、危険個所だらけで集中を切らすことができなかった。青天をつく岩からの景色を一生忘れないだろう。

 

 今回の山旅では、人との出会いにも恵まれた。3人の達人を紹介したい。

①高千穂の宿の女将・・・80歳を越えて尚一人で物凄い数のおいしい料理を提供。畑を耕し、多数の保護猫の世話をし、宿に飾るレースやパッチワークを作り、旅の人をおもてなす。女将曰く「何歳になっても色んなことにまだまだ興味があるのよ」

 

② 大崩の茶屋(宿)の女将・・・山奥のこの地に嫁いでから、大崩山に登るようになり何時しかガイドも務めるように。ハードなこの山の隅々を知り尽くし、遭難救助にもかかわる。歳を重ねてからは、棚田や畑をしつつ登山者をもてなす。鹿肉のカツが忘れられない。食後には、コースの丁寧なアドバイスも。山行翌日、無事に帰りつけたのかの電話もくださった。

 

③山の神・・・大崩山は危険個所が多いだけではなく、道迷いしやすい。あれっ、おかしいなと思うとどこからか「そこ違うよ~」と声かけてくれるお兄さんに遭遇。分岐で間違わないアドバイスや、普通は知らない眺望ポイントも指南。上ワク塚の大岩では取っ掛かりがなくてっぺんに立つのを諦めていたら、スリングも出してくれた。さらに下山の最後の渡渉は最難関で、まず渡る箇所が分からなかった。すると先で待ってくれている山の神の姿が!お陰で下手したら間に合わなかったフェリーにも余裕で乗船できた。名前も知らせず去っていかれたが、山の精だったのか・・・惚れてまうやろ~。

 

 追ってくる台風6号を気にしつつ、天候に恵まれ、九州のダイナミックな山々に魅了され、温かい人々とのめぐり逢いに感動した山行だった。

同行の仲間にも感謝したい。

 

 T岡感想:

 九州の山に行ってきました。

1日目は阿蘇山。丁度、ミヤマキリシマの時期でピンクに染まる山肌を堪能した後は、火口の直ぐそばを歩く迫力は異国のようだ。

2日目は鉾岳。パックン岩とベロ岩が有名でスリリング。お天気にも恵まれ絶好のコンディションで楽しい山でした。

3日目は大崩山で最大の難所の山として梯子は34カ所も有る岩山。下山は写真を撮る間もないくらい必死で大変だったイメージが残る。

ようやく祝子川の渡渉まで降りてきた時にはホッとした。

2泊3日の盛り沢山の行程に宿泊先の女将さんも食事も美味しく最高!

山行中に出会った人や同行者にも恵まれ楽しい山旅で感謝でしか有りません。

 

 M成感想:

 T岡さんが長年温めてきたスペシャル山行は、バラエティに富み、熊本、宮崎の風土や地域の人々の暮らしにも触れることができた充実の山旅であった。さんふらわぁの船旅は、個人的には数年前の秋にくじゅう連山山行からの二回目だったが、今回はちょうどミヤマキリシマの時期ということもあり、前回と雰囲気は変わって登山目的の方が多く乗船されていた。

 

・阿蘇山は世界最大級のカルデラ地形であり、噴煙立ち昇る厳しい景色の活火山の中岳を有する一方で、活火山だからこそ生育できるミヤマキリシマが満山錦のように咲き誇る山姿は唯一無二の風景だと思う。また、山頂から望む外輪山は起伏なく、ほぼ水平にぐるりと火口を囲み、遮るものなくその地形の面白さが見渡せた。裾野の先から外輪山までの火口原には、田畑が広がっており、数万人もの人々が活火山のすぐ傍で暮らしている環境は改めて特異だと感じた。

 調べてみると、千年以上前から代々人の手によって、火山灰の酸性土壌を牛馬の糞と草原の堆肥で農業に適した土壌に改良してきたと知り、そこまでしてこの土地に住み続けるのには火山信仰に繋がる歴史があるのだ、とより興味が湧いた。車で移動中も阿蘇山周辺には森林がなく、草地のみで明るく風も通り、長い年月をかけて人が作り上げた阿蘇ならではの景色は本当に美しかった。

 

・鉾岳は前日の阿蘇山とは一変し、宮崎県北部、高千穂峡にも近い鹿川渓谷の山深い源流部から登りはじめ、火山活動による隆起と浸食を繰り返し形成された花崗岩の奇岩を楽しむことができた。いやー、人生で見たことないです、こんな岩。という形もスケールも桁違いの岩々に、撮影タイムも想定以上に長くなった。ミヤマキリシマ見頃の時期に、この花崗岩群の山域に人は疎らだったが、やはり立派なカメラを手に熱心に撮影されている方がちらほら。

 

 中でもT岡さんの6年?越しの思いが募ったパックン岩は撮影の順番待ちで渋滞していた。岩の高さ7m、開いた口は幅6.5m、奥行き2.5mの人工的に一刀両断したようなきれいな切り口で、一体どうやったらこんな形になるのか想像がつかない。傍には日本最大級の一枚岩から流れ落ちる落差50m超の滝もアングルに入り、主役が多く画角に困った。

 

 地元の方に、先に雄鉾(おんぼこ)、後に雌鉾(めんぼこ)の順番で周った方がよいというアドバイスを頂いた意味が雌鉾に来て分かった。非常に高度感あり、山頂の面積は広いが、風が吹くと体勢を低くせずにはいられなかった。ベロ(舌)の形をした岩の先端近くまで行くことができ、撮影スポットになっている。実際行ってみるとそうでもないが、傍から俯瞰で見ている方が恐怖心を煽られ立ちすくんでしまう。先着組の紳士3名は暫く躊躇して先端を眺めているだけだったが、T岡さんから関西弁で熱く促され、逃げ場なく映えスポットまで結果行くことができ、T岡さんに大変感謝されていた。

 

・ラスボス大崩山は、迷いやすい長時間の行程、且つ船の出航時間というリミットを抱えクリアできるのか不安で、メンバー皆前日から少し緊張していた。が、祝子川温泉で温まり、大崩の茶屋の滋味深い土地ならではの豪勢な夕食を頂き、女将石本さんの確かなアドバイス&オリジナルマップも手に入れたことで、何とか浅い眠りについた。

 

 一言でまとめると、行きは良い良い、帰りは怖い山行だった。往路は山奥深い原生林、圧巻スケールのワク塚花崗岩帯、山頂に続くブナやヒメシャラの美しい森、と飽きることなく山を堪能することができた。山頂時点でのコースタイムは予定より少し早く、安堵したのも束の間、復路の坊主尾根を完全に侮っていた。

 

 展望ポイントまでは賑やかだったメンバーも、象岩トラバースから高度感のある不安定な岩渡り、固定されていない梯子、頼りない年季の入ったロープを使って直下降する場面が次々と出現し、眼前の壮大な山の景色を撮る余裕もなく、必死だった。危険個所多いが故に、各々が安全確保の声掛けしながら下山できたのはよかった。最後の難関、祝子川渡渉で迷うと聞いていたが、メンバーが前述している救世主に助けていただき、皆怪我無く無事に予定下山時刻に間に合った。宮崎の宝と呼ばれるほどつくづく良い山だったが、登山者が増えたのは比較的最近のことで、大正時代以前はその険しい地形から、人を寄せ付けない山だったそう。深田久弥氏が見つけていたら、きっと百名山として認定していたに違いない。

 

 宮崎の山奥から別府港まで車で向かう道中、クライミング後の達成感に満ちた雰囲気漂うグループに出会った。後に船でご一緒することになる大阪の山の会とは思いもよらなったが、大崩山周辺には古くからクライミングの名所として知られる比叡山を筆頭に、矢筈岳、行縢(むかばき)山、鉾岳等岩好きにはたまらない山が点在しており、関西はもちろん、全国から腕試しに来られるという。沢登り、渓流釣りのスポットも豊富で、低山ではあるが熊のいない九州山行はポテンシャル高め。遠征候補にぜひお薦めしたい。

 

 最後に話は変わり、高千穂・日之影地域の山道を移動中に印象的だった風景を記しておきたい。棚田、そして牛の放牧だ。いずれも何故こんな山奥に?とアンマッチな風景に固定概念を覆された。標高の高い傾斜地に暮らす人々が水を得るのは簡単でなく、明治~大正にかけて山の輪郭に沿うように巡らされた山腹用水路の大工事によって、山奥でも稲作ができるようになった。また、牛の放牧は過疎化が進む山奥で、荒れた山林や農地を牛の力を借りて耕すことができ、和牛の母牛となる繁殖雌牛としては、山の草木を食べ山中走り回ることで健康になりお産も楽だという。この土地の人々の暮らしが垣間見えた気がして、また別の機会にゆっくり宮崎を巡りたいと思った。